43 梅田力(うめだいさお)(長沼)

彫刻家。長野県出身、北海道長沼町在住。
The Glasgow School of Art, Master of Research 修了。
制作を通して「存在」について探求を続けており、現在は
「枯れ」や「死」の中にある美に関心がある。「線」という造形要素を基盤とし、様々な素材や表現方法を行き来する。
現在、星槎道都大学美術学部デザイン学科准教授(彫刻)。
個展・グループ展多数開催。

「枯れる」

森の奥深くに入っていくと、木々の持つ力強い生命力に圧倒される。同時に、森の中には大木が横たわり、枯れた草花や虫の死骸がある事にも気付く。倒木は土に還り始め、わずかに残った腐りかけの部分には苔が生え、隙間から若い木が芽吹いている。
森には生と死が混在していて、森の中で見る死は美しい。

一方で、現代の人間社会は死を感じる機会が極端に少ない。
スーパーマーケットで見かける肉の塊が、少し前まで息をしていた動物であったことを想像することは難しい。またコンピューターに映し出される故人の映像は、死を非現実的にさえ感じさせる。

森には生と死が混在していて、死には美しさが宿る。
しかし、よく考えてみれば、人間も自然の一部だ。本来的に、我々の生も死と共にあり、美しいものであったのかもしれない。死を感じにくい現代。だからこそもう一度、死を見つめる必要がある。